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最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1727号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人今井甚之丞の上告趣意について。

記録を調査するに、原審第一回公判調書及び第三回公判調書に作成書記木村一郎の署名はあるが、捺印が欠けているのである。從って該調書は舊刑訴第六三條第一項所定の形式に違反すること所論のとおりである。しかし、公判調書作成者である書記の捺印を欠く場合に、その公判調書を無効とする法規はないのみならず、立會書記の署名があってその書記が公判に立會いその調書を作成したことが明かなときは、公判調書を無効とすべき理由はないのである。本件において所論各公判調書には書記木村一郎の署名があるのであって裁判長の署名捺印もあるのであるから右書記が公判に立會い公判調書を作成したことが明かであり、右各調書を無効とすべきではない。從って論旨は理由なきものである。

よって、刑訴施行法第二條舊刑訴第四四六條により主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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